豚と私。狭さを知って、広さをつくる──さどの放牧豚
多くの養豚場では、1頭あたりのスペースはわずか1平方メートル前後。
たとえるなら、人がぎりぎり立てるくらいの小さな空間です。
そのなかで豚たちは、食べて、寝て、動いて、そしてまた食べる。
それが、ごく当たり前の飼育環境として全国に広がっています。
🧑🌾 実は、わたしもそこにいました
かつての私は、そんな“きっちりと管理された豚舎”で働いていました。
だからこそわかります。
豚の気持ちに寄り添えば「狭い」と感じる空間も、
管理のしやすさ、安全性の高さという点では、よく考えられた設計でもあります。
- ケンカの防止
- 病気や事故のリスク低減
- 給餌や清掃の効率化
こうしたことは、すべて豚の命を守るためでもあるのです。
豚には社会性がある、とよく言われます。
でもそれが時に、争いやストレスの原因にもなるんですね。
先回りして防げることで、「あのとき、こうしておけば…」と後悔することはないでしょう。
🌿 それでも──私は“広さ”を選びました
今、私たちが育てている放牧豚は、母豚1頭飼養スペース
**13メートル × 142メートル、合計1,846㎡(約558坪)**の広場で暮らしています。
これは、小学校の校庭と同じくらいの広さとのこと。
豚たち(母豚1頭と産まれた子豚さん)は走り、寝そべり、泥にまみれて遊びます。
空の下で、風を感じながら、豚らしいしぐさや表情をたくさん見せてくれるようになりました。
「ストレスフリー」ではもう足りない
もはや、「ストレスが少ない」という表現だけでは足りません。
ここには、心からのびのびと生きる豚たちの姿があります。
かつて、あの狭い空間の中で見せていた、動きづらそうな感じはなくなり、
今の彼らは、好奇心にあふれた瞳で私たちを見つめてきます。
決して豚舎の否定ではなく、佐渡で共に生きていくという共豚スタイルです。
育ちの違いが、味の違いになる
放牧豚の肉は、赤身のコクと、脂のやさしい甘さが特長です。
それは、自由な空間でゆっくりと時間をかけて育ったからこそ生まれる味。
「豚肉が食べれなかったけど、佐渡で放牧された豚のお肉は食べることが出来ました」
そんな声も、お客様から届くようになりました。
さどの放牧豚を、ぜひ一度
狭さと広さ、管理と自由。
その両方を知っているからこそ、今の放牧には確信があります。
食べるということは、育て方を選ぶということ。
ぜひ一度、のびのびと育ったさどの放牧豚を味わってみてください。