お客様の『これ、餌にできない?』から始まった話

肉質を良くしたい。

飼料面で、霜降りを増やしたいなら、アミノ酸の比率を変えるという考え方があります。

ただ、タンパク質を高めても、リジンは増やしすぎない。

軟脂を避けるためには、飼料中の油脂を10%以下に抑え、多価不飽和脂肪酸(魚や、酸化した油脂)を避ける。

デンプン質の多い麦や穀類を中心にすると、脂肪が締まりやすくなる。

風味をよくするには、抗酸化物質であるビタミンEも有効です。

出荷や体格の面では、黒豚は中型種で、きめの細かさや多汁性が強み。

改良された豚のように、大型化や急成長を追いすぎない方が、肉質を保てるのではないかと考えています。

イギリスでは、黒豚の小ぶりな体格が好まれる例もありますが、僕のところでは一般の改良豚よりも長く飼養しています。(国内だと長期肥育することで、歯ごたえや多汁性を出す方向性ですね。)

ストレス・と畜前管理

肉の締まりや風味に一番影響する、「と畜前の短期的な強いストレス」を避けること。運搬時の静かなハンドリング、見知らぬ個体との混合を避けて、収容場所でもできるだけストレスを避ける。

風味の決め手

オレイン酸は一価不飽和脂肪酸で、脂肪中に含まれる重要な成分です。遊離することで、旨みや甘い香りにつながる成分になる。ただ、そのものを餌に添加すれば直接増えるというわけではない。

ここまでで、僕が今、何を考えているのかというと…

最近、佐渡でお世話になっている方から、「柿の皮を餌にはできないか?」という話をしてくれたんですね!

佐渡ではおけさ柿が有名です。干し柿も作っています。そのときに、柿の皮の残渣がでます。(渋柿です)

そこで、

「いや試したことないです。」と、僕の言葉だけで終われせたくなかったんです。

もし柿の皮で、美味しい餌が作れれば、絶対に喜んでくれるはず。

お客様のためになることが仕事!

でも…渋柿。しかも皮。生のヌルヌル状態のものかな? めちゃくちゃ難しそうだなというのが、正直の気持ちでした。

渋柿の渋みがある状態で、どうやって餌に変える?

放牧の師匠のところでは、学校給食などの残飯などを、もう一度加熱して与えていました。そこで経験したのが、野菜の生野菜も食べるけど、残飯のなかのカレーの方が、ガツガツ食べる。(もちろん、そういう場合もあるという一例ですが…)

やっぱり、渋いと食べないのでは?と、だったら干し柿みたいに渋抜きすればいいじゃん!と、足りない頭で、いくつか考えました。

そして、いつも餌に混ぜている米糠の酒蔵さんに、酒粕もでるよねと思い出し、

酒粕にはある程度のアルコール分が残っているので、混ぜて時間をおけば、渋みを軽減できるのではないか。または、乾燥させるために干してみるか。

渋抜きのメカニズム

柿の渋みは可溶性のタンニンにより舌で感じますが、アルコールに触れると不要化して渋みを感じなくなります。

もう一つは、干し柿のように水分を飛ばし乾燥させることで、同じ作用が働き渋みを感じさせなくする。

肉質への好影響は?

ここからは想像です。

酒粕には、ビタミンBやアミノ酸などが含まれています。ビタミンEほどではないにしても、抗酸化的に働けば、脂肪の酸化臭や風味の劣化を抑える可能性があります。

さらに、柿の皮自体に少量でも糖分が残っていれば、良質な脂肪を作ることにも役立ちます。

もちろん、主軸になるのは米糠などのもともとの飼料ですが。 

少量の糖分やビタミンCなど栄養成分を含む柿の皮と、追加熟成されて旨みが増した酒粕を加える。嗜好性も上がるのではないかと、つまり、副次的に効いてくる。

そうなったら、佐渡でしかできない特別な餌がつくれる。

そして、お客様が喜んでくれるような肉質になったら最高です!

佐渡での干し柿製造シーズンは冬。

試作を始めるまで、もう少し時間があります。

今日は途中となりますが、これで終わりたいと思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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